呼んでも戻りにくい日がある犬と、無理なく付き合うために

夕方の散歩道で、いつものように名前を呼んだのに、犬がこちらをちらっと見るだけで戻ってこない。草の匂いを追っていたり、遠くの犬を見つめていたり、少し気持ちが外へ向いているように見える。そんな日があると、飼い主としては少し困りますし、「どうして今日は聞いてくれないのだろう」と感じることもあると思います。

けれど、呼んでも戻りにくい日があること自体は、特別に珍しいことではありません。犬にも、その日の気分や周囲への関心、疲れ具合があります。まずは強く叱るよりも、「今日は何に気を取られているのかな」と見ておくと、落ち着いて向き合いやすくなります。

戻らない理由をひとつに決めつけない

犬が呼び戻しに反応しにくいとき、理由はひとつとは限りません。近くで工事の音がしている、風に乗っていつもと違う匂いがする、久しぶりの場所で気持ちが高ぶっている。反対に、少し疲れていて動きたくない場合もあります。

「わがままになった」とすぐに考えるより、まわりの状況を見てみるとよいでしょう。道幅、人や自転車の多さ、他の犬との距離、足元の状態などを確認しておくと、犬が反応しにくくなったきっかけに気づく場合があります。

呼ぶ回数を増やしすぎない

戻ってこないと、つい何度も名前を呼びたくなります。ただ、同じ言葉を繰り返しすぎると、犬にとっては背景の音のようになってしまう場合があります。

一度呼んで反応が薄いときは、少し間を置きます。声の高さを変える、体の向きを少し横にする、軽く一歩下がるなど、犬がこちらへ向きやすいきっかけを作ってみます。大きな声で追いかけるより、戻る先が落ち着いた場所に見えるほうが、犬も動きやすいことがあります。

戻ってきたときの空気をやわらかくする

時間がかかって戻ってきたとき、飼い主はほっとする一方で、少し怒りたくなることもあります。けれど、犬から見ると「戻ったら叱られた」という印象が残る場合があります。

遅くても戻ってきたら、まずは穏やかに受け止めます。声を荒げず、軽くほめる、体をそっとなでる、いつもの歩調に戻る。そうした小さな積み重ねで、「呼ばれた先に戻ると落ち着ける」と感じやすくなります。

短い距離で練習しておく

呼び戻しは、いきなり刺激の多い場所でうまくいくとは限りません。家の中、庭先、静かな道など、犬が落ち着きやすい場所で短い距離から試しておくとよいでしょう。

たとえば、犬がこちらを見た瞬間に名前を呼び、近づいてきたらやさしくほめる。散歩中も、匂いを嗅ぎ終わって顔を上げたタイミングで呼ぶ。犬が反応しやすい場面を選ぶと、飼い主も犬も無理なく続けやすくなります。

散歩中はリードの余裕も大切に

呼び戻しの練習をするとき、リードを急に引くと、犬は「呼ばれた」よりも「引かれた」と感じる場合があります。もちろん、車道や人通りの多い場所では安全を優先しますが、落ち着いた場所ではリードに少し余裕を持たせ、犬が自分でこちらへ向かう時間を作ってみるのも一つです。

手になじむリードや、長さを扱いやすい引き綱は、散歩中の声かけや立ち止まりの練習をしやすくしてくれます。サクラ犬具製作所では、日々の散歩で使いやすいリード・引き綱もご用意しています。犬との歩調を整えたいときに、道具の使い心地を見直してみるのもよいでしょう。

戻りにくい日は、早めに切り上げる選択も

どうしても気持ちが外へ向いてしまう日もあります。人や犬が多い、音が気になる、匂いに夢中になりすぎている。そんなときは、練習を長く続けるより、少しコースを変える、静かな道へ移る、早めに帰るといった選択もあります。

うまくいかない日に無理を重ねると、飼い主も犬も疲れてしまいます。「今日はここまで」と区切ることは、あきらめではありません。次に落ち着いて歩ける余地を残すための、穏やかな判断です。

毎日の散歩の中で、少しずつ戻りやすい関係へ

呼んでも戻りにくい日があると、つい結果だけを見てしまいます。でも、犬が何を見ているか、どの場面で反応しやすいか、どんな声ならこちらを向きやすいかを知っていくことも、散歩の大切な時間です。

完璧な呼び戻しを急ぐより、戻ってきやすい距離や環境を少しずつ増やしていく。犬の様子を見ながら、飼い主の声が安心できる合図になっていくと、日々の散歩はもう少し穏やかになります。

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