夕方、玄関でリードを手にすると、先に行きたくて足踏みをする子と、こちらの顔を見ながらゆっくり立ち上がる子がいます。同じ家で暮らしていても、散歩の歩幅や気分の上がり方は犬ごとに少しずつ違います。
多頭飼いの散歩では、「みんな一緒に出られると便利」と思う一方で、歩く速さが合わずに人も犬も落ち着かない日があります。そんなときは、どの子が悪いという話ではなく、組み合わせや歩き方を少し見直してみると、毎日の散歩が整いやすくなる場合があります。
歩く速さの違いは、性格だけで決まらない
よく歩く子、匂いを確かめながら進む子、家の近くでは慎重で途中から調子が出る子。歩く速さには性格だけでなく、年齢、体格、足の長さ、その日の気温、道の混み具合なども関わります。
若い犬とシニア犬、小型犬と中型犬、初めての道が好きな子と慣れた道を好む子では、同じ距離でも感じ方が違うことがあります。まずは「速い子に合わせる」「遅い子に合わせる」と決めつけず、それぞれがどんな場面で歩きやすそうかを見ておくとよいでしょう。
一緒に歩く組み合わせを決める前に見ること
散歩の組み合わせを考えるときは、単に歩く速さだけでなく、散歩中の過ごし方も一緒に見ておくと判断しやすくなります。
- 歩き始めから前へ出やすいか
- 匂いを確認する時間が長いか
- 人や犬、自転車が来たときに立ち止まりやすいか
- 家に近づくと急ぎ足になるか
- 帰宅後に疲れすぎた様子がないか
速く歩く子同士でも、片方が周囲をよく見るタイプだと、思ったより足並みが合わないことがあります。反対に、歩幅は違っても、止まるタイミングが似ている犬同士は落ち着いて歩ける場合があります。
組み合わせ方の基本は「無理に全員一緒にしない」
毎回全員で出かける必要はありません。家庭の時間に合わせて、日によって組み合わせを変えるのも自然な考え方です。
速い子とゆっくりな子を分ける
歩く速さの差が大きい場合は、短い散歩でも分けて出るほうが落ち着くことがあります。速い子はテンポよく歩け、ゆっくりな子は匂いや周囲の様子を確かめながら進みやすくなります。
人の負担が増えすぎないように、片方は短めのコース、もう片方は近所をゆっくり回るコースなど、距離よりも内容で調整すると続けやすくなります。
相性のよいペアを見つける
三頭以上いる家庭では、「年齢が近いから一緒」ではなく、散歩中のリズムでペアを考える方法もあります。よく歩く子と周囲に反応しにくい子、匂いを楽しむ子同士など、歩く目的が近い組み合わせはまとまりやすい場合があります。
一度決めた組み合わせに固定せず、季節や体調、年齢の変化に合わせて見直しておくと安心です。
全員一緒の日は、目的を短くする
家族の都合で全員一緒に出る日もあります。その場合は、長く歩くことを目的にせず、近所を一周する、気分転換をする、外の空気を吸う、といった短めの目的にすると無理が出にくくなります。
速い子には少し待つ時間ができ、ゆっくりな子には急がされる場面が出るため、人が間に入ってペースを整える意識が大切です。
コースを分けると、同じ散歩でも負担が変わる
歩く速さが違う犬たちには、コースの選び方も影響します。人通りの多い道、車の音が響く道、曲がり角が多い道では、立ち止まる回数が増える子もいます。
速く歩きたい子には、見通しがよく歩道が広めの道。ゆっくり確認したい子には、急かされにくい静かな道。そうした分け方をすると、同じ距離でも散歩の印象が変わる場合があります。
また、行きは一緒に出て途中で家族と分かれる、近所の短い一周だけ全員で歩いてから別の子だけ追加で歩く、といった方法もあります。家庭の人数や時間帯に合わせて、無理のない形を探してみるとよいでしょう。
リードの持ち方は「急がせない、引き戻しすぎない」
歩く速さが違う犬を同時に連れていると、人の手元が忙しくなります。前へ進みたい子を強く止め続けたり、ゆっくりな子を引き寄せ続けたりすると、散歩全体が落ち着きにくくなる場合があります。
リードは短く固定しすぎず、かといって周囲に届きすぎない長さで、犬の動きが分かるように持つと扱いやすくなります。複数頭で歩く日は、リード同士が絡みにくい位置関係や、人が立ち止まるタイミングも確認しておくと安心です。
散歩中の持ち方や歩き方を見直すときは、手になじむリードを選ぶことも日々の扱いやすさにつながります。サクラ犬具製作所では、革の質感を大切にしたリード・引き綱もご覧いただけます。
「今日はこの組み合わせで十分」と考える
散歩は毎日のことなので、理想どおりにいかない日もあります。雨上がりで道が濡れている日、家の用事が立て込んでいる日、犬の気分が乗らない日もあるでしょう。
そんな日は、全員を同じ距離歩かせることよりも、それぞれが落ち着いて外に出られたかを見ておくとよいでしょう。短い散歩でも、ゆっくり匂いを確認できた子、家の前で外の空気を感じられた子、少しテンポよく歩けた子。それぞれに合った時間になれば、十分な日もあります。
年齢とともに、散歩の組み合わせも変わる
若い頃は一緒に歩けていた犬たちも、年齢を重ねると歩く速さに差が出てくることがあります。以前と同じ組み合わせで落ち着かない日が増えたら、散歩の距離や順番を見直す合図かもしれません。
先に元気な子と歩いてから、ゆっくりな子と静かな道を回る。反対に、落ち着いた子を先に外へ出して、あとから活発な子と歩く。順番を変えるだけでも、人の気持ちに余裕が生まれる場合があります。
変化に気づいたときは、急に大きく変えるより、数日単位で様子を見ながら調整していくと続けやすくなります。
まとめ
犬ごとに歩く速さが違うのは、珍しいことではありません。多頭飼いの散歩では、全員を同じペースにそろえるよりも、それぞれが歩きやすい組み合わせやコースを考えることが大切です。
速い子、ゆっくりな子、慎重な子、寄り道が好きな子。それぞれの散歩のリズムを見ておくと、毎日の外出に少し余裕が生まれます。無理なく続けられる形を、家庭の暮らしに合わせて整えていきたいですね。


