昼下がりのリビングで、犬が窓辺の少しあたたかい場所に丸くなっている。家事の手を止めて見ると、前足をゆるめ、まぶたも重そうです。そんな姿を見ると、名前を呼びたくなったり、頭をなでたくなったりすることがあります。
犬との暮らしでは、声をかけることも大切なふれあいです。ただ、休んでいる時間まで何度も呼びかけると、犬が落ち着きにくくなる場合があります。そっと見守る時間をつくることも、毎日のやさしい関わり方のひとつです。
休んでいるときの犬は、暮らしの音を聞いている
犬は寝ているように見えても、人の動きや足音、扉の開く音に気づいていることがあります。名前を呼ばれると、反応しようとして顔を上げたり、起き上がったりする犬もいます。
もちろん、呼んではいけないということではありません。散歩や食事、移動など、声をかける必要がある場面はあります。気をつけたいのは、かわいいからという理由だけで、休んでいるたびに何度も声をかけることです。
人も、うとうとしているときに何度も話しかけられると、少し落ち着かないものです。犬にも同じように、静かに過ごしたい時間があると考えておくとよいでしょう。
まずは「今は休んでいる時間」と家族で共有する
家族の人数が多いと、ひとりひとりは軽く声をかけているつもりでも、犬にとっては何度も起こされているように感じる場合があります。
たとえば、犬がベッドやクッションで横になっているときは、必要がなければ呼ばない。子どもや来客には「今は休んでいるから、そっとしておこうね」と伝える。こうした小さな共有だけでも、犬の休み時間を守りやすくなります。
声をかけるかわりに、少し離れたところから表情や呼吸の様子を見ておくのもよいでしょう。いつもと違う様子が続く場合は、無理に起こして確かめるより、落ち着いて全体の様子を確認しておくと安心です。
声をかける前に、用事があるかを考える
犬が休んでいるときに声をかけたくなったら、いったん「今、呼ぶ理由はあるかな」と考えてみます。
- 散歩や食事など、次の行動に移る必要がある
- 危ない場所で寝ていて、移動してほしい
- 首輪やリードなどを確認する必要がある
- 体の様子に気になる変化があり、近くで見たい
こうした用事があるときは、急に大きな声を出さず、近くでやわらかく名前を呼ぶとよいでしょう。寝起きにびっくりしやすい犬もいます。声の大きさや近づき方は、その犬の反応を見ながら調整していきます。
特に用事がないときは、声をかけずにそのままにしておく。これだけでも、犬にとっては安心できる時間になる場合があります。
なでる前にも、ひと呼吸置く
眠っている犬を見ていると、つい手を伸ばしたくなります。けれど、休んでいる最中に急に触られると、驚く犬もいます。
なでたいときは、まず犬が起きているか、こちらに気づいているかを見ます。目を開けてこちらを見る、しっぽや耳で反応する、体をこちらへ向ける。そんな様子があれば、静かに近づいて短く触れる程度にしておくとよいでしょう。
反対に、顔をそむける、体を丸める、起きてもすぐにまた寝ようとする。そうしたときは、今は休みたいのかもしれません。無理にふれあいを続けず、そっと離れる選択も大切です。
犬が安心して休める場所を決めておく
家の中に「ここにいるときは休んでいてよい場所」をつくっておくと、犬も人も過ごし方を決めやすくなります。
リビングの端、窓辺から少し離れた場所、家族の気配はあるけれど人の通り道ではない場所など、その家に合った落ち着きやすい場所を探してみます。掃除機をかける時間や来客時など、生活音が大きくなりやすい場面では、別の静かな場所に移れるようにしておくと安心です。
犬用ベッドやブランケットを置くだけでなく、家族がその場所の意味を知っておくことも大切です。そこにいるときは、必要以上に呼ばない。触る前に様子を見る。そんな約束があると、犬も休みやすくなります。
静かな関わりも、立派な愛情です
犬との暮らしでは、声をかける、なでる、一緒に遊ぶといった時間が目に見える愛情として感じられます。一方で、眠っている姿を起こさずに見守ることも、同じくらい大切な関わり方です。
年齢を重ねた犬は、若いころより休む時間が長くなる場合があります。子犬や若い犬でも、遊んだあとや散歩のあとには深く休みたいことがあります。その時々の様子を見ながら、声をかける時間と、そっとしておく時間の両方を持てるとよいでしょう。
サクラ犬具製作所では、犬具を選ぶときも、日々の暮らしに自然になじむことを大切にしています。犬が歩く時間、待つ時間、そして休む時間。どの時間も急がせすぎず、飼い主さんと犬が無理なく過ごせることが、毎日の安心につながっていきます。


