夜、犬の口元に手を伸ばすと、顔をそむけたり舌で手を押し返したりする場面もあります。「歯みがきをしなければ」と急がず、最初は口に触れられる時間を短く作る。犬との暮らしでは、完璧な一回より、続けられる手順を選ぶことが答えになります。
犬との暮らしで口のケアを続ける答え
家庭でのケアは、歯ブラシをいきなり口の奥まで入れるところから始めません。唇の上から口元に触れる、指で歯の表面に軽く触れる、道具を見せて終える。犬が強く嫌がらない段階で止め、少しずつ次へ進みます。
口の中を触られることへの慣れ方は、犬によって違います。顔を背ける、体を引く、口を固く閉じる動きが出たら、その日はそこで終わりにして構いません。押さえ込んで続けると、次に口元へ手を伸ばしたときの反応が強まる場合もあります。
歯ブラシは「磨く道具」より先に慣らす
歯ブラシを使えるようにしたいときも、最初から全体を磨こうとしないことです。犬用の歯みがき用品を手に持ち、匂いを確かめさせる。次にブラシの背や指先を歯に一度触れさせる。その程度から始めます。
犬用の歯みがき剤を使う場合は、犬向けに作られたものを選び、人用の歯みがき剤は使わないでください。成分を犬が飲み込む可能性があるためです。歯ブラシが難しい時期は、清潔な指や犬用シートで歯の外側に触れる方法を試す選択肢もあります。ただし、こすって出血するほど力を入れる必要はありません。
ガムやおもちゃは補助にはなっても、歯みがきの代わりと決めつけないほうがよいものです。硬さや形が犬に合わないと、口を痛めたり、欠けたものを飲み込んだりする心配があります。使ったあとは、欠けや裂けがないかを見てください。
歯ブラシとガーゼ、続けやすい方を選ぶ
歯ブラシは歯の表面に当てやすく、慣れれば細かな部分まで触れやすい道具です。一方、ガーゼや犬用シートは指の感覚が伝わるため、口元に触れる練習から移りやすい道具です。
どちらが優れているかではなく、飼い主さんが落ち着いて扱えるか、犬がどこまで受け入れられるかで選びます。犬具のサイズや仕様について相談を受ける中でも、選択肢が多いほど迷いが深くなる場面を見てきました。道具を作る側から見ると、口のケアも同じです。機能の多さより、毎回手に取れる一つを決めるほうが続きます。
今日から試せる実践Tips

ケアの時間を独立した大仕事にせず、落ち着いている時間の最後に一動作だけ加えます。口元に触れる、前歯を一度なでる、ブラシを歯に一回当てる。その日の犬の反応で、ここまでと区切ります。
終わったあとに犬が口を気にしていないか、手を払うような動きがないかを見ておきます。翌日に同じことができなければ、前の段階へ戻しても問題ありません。続けるために必要なのは、毎回きれいに仕上げることではなく、嫌がる前に手を止める判断です。
口臭が急に強くなった、歯ぐきから血が出る、よだれが増えた、食べにくそうにするなどの変化があれば、家庭のケアだけで判断しないでください。犬がぐったりしている、呼吸が苦しそう、立てない、吐いている、または飼い主さんが心配だと感じるときは、道具の工夫より先に獣医師などの専門家へ相談します。
次のケアでは、犬の口元に指を近づけたときの反応を一つだけ見てください。続けられる速さは、その犬の動きの中にあります。


