朝の散歩道で、向こうから犬を連れた方が歩いてきます。こちらの犬は少し耳を立て、相手の犬もこちらを見ています。飼い主同士が「こんにちは」と声を交わすと、つい犬同士も近づけてあげたほうがよいのかな、と思うことがあります。
けれど、犬同士のあいさつは、近づけばよいというものではありません。相手に興味があるように見えても、少し距離を置いて確認したい場合があります。今日は、散歩中に犬同士を無理に近づけないための、落ち着いた見守り方についてお話しします。
犬同士のあいさつは「近いほどよい」とは限りません
犬は、においを嗅いだり、姿勢を見たり、歩く速さを感じたりしながら、相手のことを少しずつ確認しています。人から見ると何もしていないように見える時間でも、犬にとっては大切な観察の時間になっている場合があります。
そのため、出会ってすぐに正面から近づけるよりも、少し離れた場所で相手を見たり、同じ方向へゆっくり歩いたりするほうが、落ち着きやすいことがあります。
「せっかくだからあいさつさせたい」と思う場面でも、犬が自分で距離を選べるようにしておくと安心です。
近づける前に見ておきたい犬の様子
相手の犬が見えたときは、まず自分の犬の様子を軽く確認しておくとよいでしょう。特別に難しく考える必要はありません。いつもの散歩の延長で、表情や体の動きを見るような感覚です。
少し距離を取りたいときに見られる様子
- 立ち止まって相手をじっと見ている
- 体が少し固くなっている
- 飼い主の後ろや横に寄ってくる
- リードが張ったまま前に出ようとする
- 顔をそむけたり、地面のにおいを急に嗅ぎ始めたりする
これらは必ずしも悪い反応ではありません。ただ、「もう少し様子を見たい」という気持ちが出ている場合があります。そこで無理に近づけず、いったん距離を保ってあげると、犬も落ち着いて判断しやすくなります。
正面から近づけないだけで、空気がやわらぐことがあります
犬同士が真正面から近づくと、少し緊張が高まりやすい場合があります。人同士でも、初対面で真正面から急に近づかれると、少し身構えることがありますね。
散歩中なら、道の端に少し寄る、ゆるやかに弧を描くように歩く、相手が通り過ぎるまで待つなど、小さな工夫ができます。犬を引き寄せて急に止めるよりも、早めに進路を少し変えるほうが自然に距離を作りやすいでしょう。
相手の飼い主さんが近づけたそうにしているときも、無理をする必要はありません。「今日は少し離れてごあいさつしますね」と穏やかに伝えれば、十分なあいさつになることがあります。
リードは短く持ちすぎず、長くしすぎず
犬同士の距離を見守るとき、リードの持ち方も大切です。強く引き続けると犬の体に緊張が伝わりやすく、反対に長く伸ばしすぎると、急に相手の犬へ近づいてしまうことがあります。
手元で調整しやすい長さに持ち、犬が立ち止まったり向きを変えたりできる余裕を残しておくとよいでしょう。リードを持つ手に力が入りすぎていないか、自分の姿勢も確認しておくと安心です。
散歩中の距離の取り方を考えるときは、扱いやすいリードを選んでおくことも日々の安心につながります。サクラ犬具製作所では、散歩の基本道具としてリード・引き綱もご用意しています。長さや手になじむ感覚を見直したいときの参考にしてみてください。
あいさつをしない日があっても大丈夫です
散歩で犬に会ったからといって、毎回近づいてあいさつをする必要はありません。遠くから見るだけの日、道を譲って通り過ぎる日、飼い主さん同士だけ軽く会釈する日があっても自然です。
特に、道幅が狭い場所、相手の犬が興奮しているように見える場面、こちらの犬が疲れている日などは、近づかずに通り過ぎるほうが落ち着いて過ごせる場合があります。
犬同士の関係は、一度のあいさつで決まるものではありません。何度か同じ散歩道で見かけるうちに、少しずつ慣れていくこともあります。焦らず、犬の様子を見ながら距離を選んでいくとよいでしょう。
飼い主の落ち着きが、犬の安心につながります
犬は、リードを通して飼い主の動きや力の入り方を感じ取っていることがあります。相手の犬が見えたときに、飼い主が慌ててリードを引いたり、急に大きな声を出したりすると、犬も「何かあるのかな」と感じる場合があります。
まずはゆっくり立ち止まる、少し横へよける、穏やかな声で名前を呼ぶなど、落ち着いた動きを心がけてみましょう。犬が飼い主のほうを見たら、無理に相手へ向かわせず、そのまま一緒に歩き出すのもよい方法です。
まとめ:あいさつは、犬が選べる距離から
犬同士のあいさつは、近づけることだけが目的ではありません。相手を見る、においを感じる、少し離れて通り過ぎる。そうした時間も、犬にとっては十分な情報になる場合があります。
散歩中に犬同士が出会ったら、まずは距離を取り、犬の表情や体の動きを見ておく。近づけるかどうかは、その日の様子に合わせて考える。そんな小さな見守りが、毎日の散歩を穏やかにしてくれます。
無理にあいさつをさせるより、犬が落ち着いていられる距離を一緒に探すこと。飼い主のその余裕が、犬にとって心強い合図になるのではないでしょうか。


