犬は、メンタリストなのか?

みなさんは、20世紀初頭に有名となった計算ができる天才馬「ハンス」の物語をご存じだろうか?

飼い主であるオステンが出す計算問題に蹄で地面をたたき、その回数が答えと一致するという事で一躍有名となり、時計を読んだり、絵を見分けたり、音階を聞き分けたり、計算することができる馬とされていた。

多くの研究者がそのトリックの謎解きに挑戦したが、1904年 ベルリンで結成された13人の委員の厳密な調査によって「何のトリックも使っていない」という結論に達したのだ。

しかし、委員の一人であった、フングストは、その後も調査を続け、あることに気が付いた。

出題者・飼い主・観客を含めまわりの人間たちが答えをしならないときは、ハンスが問題を解くことができなかったのだ。

つまり、すばらしい洞察力でまわりの人間の思いを感じ取っていたのである。

フングストの導き出した結論によれば、蹄の音を鳴らし、正解の数に達したときに出題者の身体に反応が現れる。それを感じ取った時に問題を解くことができるというものだ。

しかし、これは馬だけなのだろうか?

私は、馬と同様に犬も大変すぐれた洞察力を持っていると感じている

よく、飼い主が精神的なバランスを崩すと、犬も同様に情緒不安のようなふるまいを見せ、胃腸系の病気に罹ってしまうというような事を聞いたことがある。

犬は、言葉を理解することはできないが、常に人間を観察している為か、非常に面白い行動を見せることがある。

たとえば、私が落ち着き、紳士的なリーダーシップを持って接すれば、犬は静かに飼い主の指示に従ってくれる。

しかし、時間にあせっていたり、何かのハプニングがあって、落ち着きのない態度を見せると、犬も同様に落ち着きのない態度を見せる。

これは、人間に限ったことではなく、落ち着きのない犬が、落ち着きのある他犬と同居させることで落ち着きを習得することもある。

まるで、鏡のような存在だ。つねに他者のふるまいを観察しているのだ。

ある日、あることに気付いた。

私がお座りやふせなど指示を出しているときに、無意識的にしている指のクセがあったのだが、それをせずに指示を出したのだ。

すると、犬は従ってくれなかった。

どうやら、言葉を理解して従っているのではないようだ。

それを確かめるため、インターネット電話を使い、遠くからPCのスピーカーで、声の指示を出してみた。

結果は、まったく反応してくれなかった。

これは、うちで飼っている犬だけかもしれないし、

声のイントネーションから判断し指示に従う場合や本当に言語を理解しているケースもあると思うが、

必ずしも、犬は言葉だけで飼い主の指示を理解している訳ではなく、

常に他者の身体的ふるまいや雰囲気を感じ取り、直感的な判断を下しているようだ。

まさに犬は、メンタリストなのではないかと思う。

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