「おやつあるよ」で呼ぶと、犬は嘘を見抜く?

「おやつあるよ」と呼んだのに、手ぶらだった。犬は飼い主さんの嘘を見抜くのでしょうか。人のように「嘘をつかれた」と考えているとは言い切れません。ただ、呼ばれたあとに何が起きるかは、経験から結びつけていくと考えるのが自然です。おやつを約束する言葉は、渡せるときに使いましょう。

犬が覚えるのは、言葉とそのあと

袋がかさっと鳴ると、犬の耳がぴんと立つ。飼い主さんの手元を見て、足が一歩こちらへ向く。そんな様子を見ると、犬は言葉の意味を人と同じように理解しているようにも感じます。

けれど、犬がその言葉をどう受け取っているかを、人間の「嘘」という考えだけで説明するのは難しいものです。「おやつあるよ」の音、手の動き、呼ばれたあとに食べ物が出てきた経験。いくつかの手がかりが重なって、犬にとって意味のある合図になっていくのでは、と私は思います。

だから、一度あげなかっただけで犬が飼い主さんを信用しなくなる、と心配しすぎる必要はありません。一方で、同じ言葉で何度も呼ばれて何も起きなければ、その合図に反応する理由は薄れていくかもしれません。犬の頭の中で、約束を破った記録簿が作られているわけではなさそうです。とはいえ、こちらの手ぶらは案外よく見られています。

呼び戻しに使う合図は、約束をそろえる

特に気をつけたいのは、散歩中などに戻ってきてほしい場面です。おやつがないのに「おやつあるよ」と呼んで、来たあと何も渡さないことが続くと、合図そのものが頼りにくくなることがあります。呼び戻しは安全にも関わるので、食べ物を使うなら手元に用意してから呼びます。

毎回おやつを使わなければいけない、という話ではありません。名前を呼んで来てもらいたいときは、名前を合図として使う。遊びに誘うなら、遊べる状態にしてから誘う。何を知らせる言葉なのかと、そのあとに起きることをできるだけそろえると、犬にも伝わりやすくなります。

犬具屋としては、呼び戻しでは気を引く言葉を増やすより、毎回の合図と飼い主さんの行動を一致させることを優先します。おやつで呼ぶなら、ポケットにあるかを先に確かめる。小さな段取りですが、犬を呼んだあとに「あ、今日はないんだった」となるのを防げます。

おやつなしで呼びたいときは?

おやつを持っていない場面では、いつもの「おやつあるよ」を使わず、名前や普段の呼び戻しの合図を選びます。来たら、声をかけたり、撫でたり、遊びに移ったりと、その場でできる応答を返します。食べ物を使わない場合も、呼ばれた先に何があるのかを毎回そろえるのがコツです。

ただし、撫でられるのが好きか、遊びたいかは犬によって違います。差し出した手からすっと離れるなら、無理に触らず、犬が受け取りやすい反応を探してください。呼べば必ず来る、と期待するより、日頃から合図の意味を混ぜないほうが現実的です。

今日から試せる実践Tips

犬を呼ぶ前に手元のおやつを用意する飼い主

次に犬を呼ぶ前に、使う言葉をひとつ決めて、そのあと何を返せるかを確かめてみてください。おやつを出すなら手元に用意し、手ぶらなら名前や別の合図にする。今日はそれだけで十分です。犬の耳が動いた瞬間、こちらの手がちゃんと約束どおりか、私たちも見られているのかもしれません。

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