散歩のあと、スマートフォンには愛犬の写真が何枚も並ぶのに、飼い主さんと一緒の写真は見当たらない。そんなときは、まず「撮る役」を交代してみてください。自撮りの構図を工夫するより、誰かに一枚頼むほうが、いつもの表情を残しやすいこともあります。
撮る人は、写真の外にいる
愛犬がこちらを見た瞬間、スマートフォンを構える。耳の角度も、窓から入る光もいい。けれど、飼い主さんは画面のこちら側です。あとで見返すと、犬の顔はよく写っているのに、自分の手や膝さえ写っていない。写真を撮るのが上手な人ほど、つい犬だけを画面に収めてしまうのかもしれません。
足元では、リードが小さく揺れ、犬の爪が床をこつこつ鳴らす。いつもの散歩道なら、見慣れた景色のなかに、飼い主さんの肩や手が入るだけで「一緒にいた時間」が写ります。犬がカメラ目線でなくてもかまいません。匂いをかいでいる横顔や、飼い主さんを見上げたところも、その日の二人らしい一枚です。
意外と、愛犬と一緒に写る写真に必要なのは、犬をこちらへ向かせる工夫ではありません。飼い主さんがカメラの後ろから出ることです。犬に「はい、笑って」と頼んでも、返事はたいてい鼻先のくんくんです。そこは、期待しすぎないほうが気が楽です。
自撮りより、撮る役を交代する
自撮りは、すぐ撮れるのが長所です。ただ、片手を伸ばすと画面が狭くなり、犬が近づけば鼻が大きく写り、少し離れれば飼い主さんの顔が端に寄る。二人を画面に入れようとするほど、撮る人まで忙しくなってしまいます。
いっぽう、家族や友人に頼めるなら、スマートフォンを渡して撮ってもらうのが手軽です。特別なポーズは要りません。散歩の途中で並んで立つ、家で犬が休んでいるそばに座る。それだけで、撮影する人が写らない問題は解決します。
頼む相手がいないときは、スマートフォンを安定した場所に置いて、タイマーを使う方法もあります。ただし、犬が動いても追いかけて撮り直さなくて大丈夫。何枚撮ったかより、飼い主さんもそこにいたとわかる写真を一枚残すほうを、私は優先したいです。
犬具を作る側から見ても、日々の道具は特別な場面だけでなく、いつもの暮らしの中で使われてこそ意味があります。写真も同じで、記念日に整えて撮る一枚より、普段の散歩や家で過ごす時間を残すほうが、あとでその日の空気を思い出せるのではないでしょうか。
写り方は、あとから選べる
一緒の写真を撮るとなると、顔も服も背景も気になって、つい準備を始めたくなります。でも、写真の目的は、きれいに見せることだけではありません。愛犬の横でリードを持つ手、床に座った飼い主さんの足元、散歩帰りに少し乱れた髪。そうしたものも、いっしょに過ごした日の一部です。
顔を出したくない場合は、後ろ姿や手元だけでも構いません。犬と飼い主さんの距離が見えるように、少し引いて撮ってもらう。あるいは、犬をなでている手と横顔を写す。自分にとって無理のない写り方を選べば、写真を撮ること自体が億劫になりにくくなります。
大切なのは、愛犬をじっとさせて理想のポーズを作ることではなく、飼い主さんもその場にいること。犬がこちらを見ていなくても、写真の中で同じ景色を眺めていれば、それはちゃんと一緒の写真です。
今日から試せる実践Tips

次に家族や友人と愛犬のそばにいるとき、スマートフォンを一度渡して「犬と私を一枚お願い」と頼んでみてください。散歩なら、立ち止まったところで並ぶだけ。家なら、犬が落ち着いている場所の近くに座るだけで十分です。
撮る人がいない日も、無理に今日の一枚を完成させなくてかまいません。まずは、これまで自分が撮っていた場面をひとつ思い出して、次は自分も画面に入る、と決めておく。その小さな役割交代から始めてみませんか。


