ブラッシングを嫌がる犬に、急がず慣れてもらうための工夫

夕方の散歩から帰って、足を拭き、水を飲んで、犬が少し落ち着いたころ。抜け毛が気になってブラシを手に取ると、さっと体をよけたり、部屋の隅へ移動したりすることがあります。

飼い主としては、毛並みを整えてあげたいだけなのに、犬にとっては「何をされるのか分からない時間」になっている場合があります。そんなときは、きれいに仕上げることを急がず、まずはブラッシングに慣れてもらうところから始めてみるとよいでしょう。

嫌がる理由を決めつけず、まず様子を見る

ブラッシングを嫌がる犬にも、いろいろな様子があります。ブラシを見るだけで離れる犬もいれば、背中は平気でも足先やお腹まわりになると嫌がる犬もいます。

「わがまま」と決めつけるより、どの場面で苦手そうにするのかを見ておくと、無理のない進め方を考えやすくなります。

  • ブラシを見せたときに離れる
  • 体に触れた瞬間に身をよじる
  • 特定の場所だけ嫌がる
  • 長く続けると落ち着かなくなる
  • 以前より急に嫌がるようになった

急に反応が変わった場合や、皮膚の赤み、毛玉、触ると気にする場所がある場合は、無理に続けず様子を見ておくとよいでしょう。気になる状態が続く場合は、専門家に確認しておくと安心です。

最初から全身をとかそうとしない

ブラッシングが苦手な犬には、「今日は全部きれいにしよう」と考えるほど、時間が長くなりがちです。けれど、慣れていない犬にとっては、長く続くこと自体が負担になる場合があります。

最初は、背中の一部を軽くなでる程度でも十分です。ブラシを当てる前に手でなでて、落ち着いているようなら一度だけブラシを通す。そのくらい小さな始まりでも、犬にとっては大切な経験になります。

終わり方をよい印象にする

犬が嫌がってからやめるより、まだ落ち着いているうちに終えるほうが、次につながりやすくなります。

「もう少しできそう」と思うところでやめるくらいが、はじめのうちはちょうどよい場合があります。最後にやさしく声をかけたり、いつものように水を飲ませたりして、日常の流れに戻してあげましょう。

ブラシをいきなり体に当てない

犬によっては、ブラシそのものに慣れていないことがあります。いきなり体に当てる前に、まずは床や飼い主の手元に置いて見せるだけの日をつくってもよいでしょう。

近づいて匂いをかいだら、そこで終わり。次はブラシを持ったまま、犬の体には触れずにそばにいる。さらに慣れてきたら、ブラシの背の部分で軽く触れる。こうして段階を分けると、犬が「これは怖いものではなさそう」と受け止めやすくなる場合があります。

触られて平気な場所から始める

足先、お腹、尻尾まわり、耳の近くなどは、苦手に感じる犬もいます。最初から苦手な場所に向かうと、ブラッシング全体の印象が悪くなってしまうことがあります。

まずは、普段なでられて落ち着きやすい場所から始めましょう。背中や肩まわりなど、犬が受け入れやすい場所を短くとかし、嫌がる場所は無理に進めないことも大切です。

毛玉や引っかかりは力で解かない

毛が引っかかると、犬は痛みや違和感を覚える場合があります。ブラシが引っかかったときは、力で引っぱらず、いったん手を止めましょう。

毛先のほうから少しずつほぐす、別の日に分ける、難しいと感じたらトリミングの専門家に相談するなど、急がない選択を持っておくと安心です。

姿勢と場所を整える

犬が落ち着きにくい場所では、ブラッシングも進めにくくなります。人の出入りが多い玄関先や、音が響きやすい場所では、そわそわする犬もいるでしょう。

床に滑りにくいマットを敷く、犬が立ったままでも座ったままでもよいようにする、飼い主が覆いかぶさらない姿勢にするなど、環境を少し整えるだけでも受け入れやすくなる場合があります。

ブラッシング中は、首輪やリードで強く固定するより、犬が安心しやすい距離感を意識したほうがよい場面もあります。逃げ回ってしまう場合は、無理に追いかけず、一度中断して落ち着く時間をつくりましょう。

声かけは短く、手はゆっくり

犬が緊張しているときに、たくさん話しかけたり、手を忙しく動かしたりすると、かえって落ち着きにくくなることがあります。

「大丈夫」「ここだけね」など、短く穏やかな声かけにして、手の動きもゆっくりにします。ブラシを通す方向は毛の流れに沿って、軽い力から始めるとよいでしょう。

飼い主の呼吸や動きが落ち着いていると、犬も状況を受け入れやすくなる場合があります。うまくできない日があっても、そこで叱らず、次に試せる余地を残しておくことが大切です。

毎回同じ流れにすると分かりやすい

犬は、日常の流れから次に起きることを覚えていくことがあります。ブラッシングも、毎回まったく違うタイミングで突然始めるより、ある程度同じ流れにすると分かりやすくなります。

  • 散歩後に少し休んでから始める
  • 同じマットの上で行う
  • 最初に手でなでてからブラシを使う
  • 短い範囲で終える
  • 終わったらいつもの場所で休ませる

こうした小さな繰り返しが、犬にとっての安心材料になる場合があります。

「きれいにする時間」より「慣れる時間」と考える

ブラッシングは、毛並みを整えるための大切な手入れですが、苦手な犬にとっては、まず慣れることが先になります。

一度で全身を仕上げることより、今日は背中だけ、明日は首まわりを少しだけ、というように分けて考えてもよいでしょう。小さく終えた経験を重ねることで、ブラシを見ても身構えにくくなる場合があります。

犬の手入れは、毎日の暮らしの中にあるものです。急がず、比べず、その犬のペースを見ながら続けていくことが、長く付き合いやすい習慣につながっていきます。

まとめ

ブラッシングを嫌がる犬には、無理に押し切るより、ブラシに慣れるところから始めるのがおすすめです。嫌がる場所やタイミングを観察し、短く、静かに、落ち着いて終えることを意識してみましょう。

うまくできる日もあれば、気分が乗らない日もあります。そんな日々の揺れも含めて、犬との暮らしです。少しずつ受け入れてくれる様子を見ながら、心地よい手入れの時間を育てていけるとよいですね。

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