犬がおもちゃを取られると唸るのはなぜ?まず何をする?

遊び終わりのおもちゃに手を伸ばしたら、犬が口を固くして低く唸る。そんなときは、叱ったり無理に取ったりせず、まず手を止めて距離を取ってください。唸りは「近づかないで」という合図かもしれません。今は取り上げる練習ではなく、犬と人の安全を保ち、次に手放す練習ができる状態をつくるのが先です。

唸り声は、叱って消すものではありません

床に置かれたおもちゃへ手が近づく。犬の体がふっと止まり、口元に力が入り、喉の奥から「ウー」と音がする。飼い主さんには、取られたくなくて反抗しているように見えるかもしれません。

ただ、唸りだけから犬の気持ちや原因を決めつけることはできません。おもちゃを守ろうとしているのか、手が迫ることに不安を感じているのか。理由を言い当てるより、「今は手を出さないでほしい」という合図として受け止めるほうが安全です。

ここで叱ると、犬が唸ること自体をやめる可能性はあります。しかし、それだけで「手が近づいても平気」になったとは限りません。合図が見えにくくなり、飼い主さんが状況を読み取りづらくなることもあります。唸りを許すかどうかの話ではなく、唸るほど緊張する場面を、まず作らないことが大事です。

犬具をつくる側の私も、何かを強く押さえれば解決する、とは考えません。犬との暮らしでは、力で通すより、次に同じ場面を穏やかに繰り返せる手順を優先したいです。

その場では、手を引いて争いを止める

唸られたら、手を伸ばすのをやめ、犬の顔やおもちゃに近づき続けないようにします。引っ張り合いに持ち込んだり、口をこじ開けたりするのは避けてください。犬が唸っている最中に、交換を覚えさせようと何度も迫る必要もありません。

人が動きを止め、少し離れる。まずはそれで十分です。おもちゃを守る様子がある間は、子どもやほかの犬を近づけないようにし、取り上げる役を代わりの人に頼むのも避けます。口元に手を出さないことが、双方の安全を守るいちばん確かな出発点です。

どうしてもその場を離れなければならないときも、犬を追い詰めたり、逃げ道をふさいだりせず、距離を保って対応してください。安全にできるかわからない場合は、無理に取り上げないで、犬の行動を見てくれる獣医師や、資格・経験のある行動の専門家に相談しましょう。

唸りが急に始まった、触られることを急に嫌がるなど、行動の変化が気になるときも、行動だけで原因を決めず獣医さんに相談してください。ぐったりしている、呼吸が苦しそう、立てない、吐くといった状態や、飼い主さん自身が心配なときは、犬具や練習の話より獣医さんなど専門家への相談を優先してください。

手放す練習は、おもちゃを奪わずに始める

落ち着いている別の機会に、犬がくわえているものと交換する練習をします。犬が興味を持ちそうな食べ物や別のおもちゃを、口元へ押しつけず、少し離れたところに用意します。犬がおもちゃから自分で口を離したら、先に用意したものを渡す。これが基本の流れです。

大切なのは、手放した瞬間に毎回おもちゃを取り上げて遊びを終わらせないこと。手を出すと好きなものが消える、とばかり続けば、犬が手を警戒するのも無理はありません。練習では、交換したあとに元のおもちゃを返すこともできます。返ってくることがあるとわかれば、手を離す経験を積みやすくなります。

最初は、犬が強く執着しているものや、唸りが出る場面を練習に使わないでください。静かな場所で、犬が落ち着いているときに短く試します。手を伸ばすたびに体が固まる、唸る、食べ物にも反応しないなら、そこで終了です。距離を取り、より安全な進め方を専門家に相談してください。

「ちょうだい」と言えばすぐ手放す、という完成形を急がなくてかまいません。まずは、手が近づく前に交換のものを見せる。犬が自分から口を離したら、すぐ渡す。人の手が毎回おもちゃをさらっていくわけではないと伝えるほうが、力比べより先につながります。

今日から試せる実践Tips

飼い主が手を膝に置き、おもちゃをくわえた犬を離れて観察する場面

今日できるのは、唸りが出る場面で手を止めることです。練習を始める前に、どのおもちゃで、どの距離から体が固くなるのかを、手を出さずに見てください。口の閉じ方や体のこわばりに気づいたら、そこから先へ進まない。唸り声が出る前の小さな変化を手がかりに、次の練習の距離を決められます。まず一度、近づかずに観察するところから始めてください。

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