散歩中、ほかの犬を見て立ち止まったり、離れようとしたりする愛犬。犬友だちがいないとかわいそうなのでは、と気になる飼い主さんもいるかもしれません。けれど、友だちの数や遊ぶ時間に一律の正解はありません。交流を増やすより、愛犬が落ち着いて過ごせる距離を優先してください。
犬友だちは必ず必要、とは言えません
人が友人との交流を楽しむことと、犬がほかの犬との交流を必要とすることは、同じではありません。犬友だちがいないという一点だけで、愛犬がかわいそうだとは決められません。
ほかの犬に近づかない、遊びに加わらないという様子だけで、困っているとも判断できません。逆に、吠える、固まる、逃げようとするなどの反応が出ているのに、「慣れれば大丈夫」と近づけるのも避けたいところです。まず見るのは友だちの有無ではなく、その場で愛犬が落ち着いていられるかです。
犬によって、ほかの犬への関心や過ごしやすい距離は異なります。交流の機会を設けるとしても、相手と遊ぶことを目標にせず、互いに無理なく同じ場所にいられるかを見ます。
近づけるか迷ったら、反応より距離を先に変える
ほかの犬を見つけたときに、愛犬が体をこわばらせる、後ずさる、飼い主さんの後ろへ回る、吠えるといった反応をしたら、まず距離を取ってください。反応を止めさせようと引き寄せたり、挨拶をさせたりするより、離れて落ち着けるかを確かめます。
散歩では、道の反対側へ移る、広い場所で通り過ぎるのを待つ、進路を変えるなど、相手との距離を確保できる方法を選びます。すれ違いを避けても、散歩の失敗ではありません。愛犬が落ち着いて歩き続けられるなら、それも十分に意味のある散歩です。
ほかの犬に慣れることを目指す場合も、急に接近させないでください。距離を取った状態で、愛犬が落ち着いていられるかを見ながら進めます。反応が強まる、距離を取っても落ち着かない、散歩そのものが難しくなるときは、無理に練習を続けず、獣医師や犬の行動に詳しい専門家へ相談してください。
交流するなら、遊びより「無理なくいられるか」
相手の犬がいる場面を試すなら、相手も落ち着いていて、すぐに距離を取れる場所や状況を選びます。犬同士を正面から近づけたり、リードを張ったまま挨拶させたりすることは避けましょう。愛犬が離れようとしたら、その選択を妨げず、交流を終えます。
一度うまく過ごせても、次も同じようにできるとは限りません。相手、場所、距離などの条件によって反応は変わります。「友だちになれたか」ではなく、愛犬がその時間を穏やかに過ごせたかを振り返ってください。
犬具屋としては、犬同士の挨拶を増やすことより、飼い主さんが無理なく距離を選べる散歩を優先します。相手に合わせて急ぐより、愛犬の反応を見て進路を変えられるほうが、毎日の散歩を続けやすいからです。
職人のひとこと

犬友だちを作らなければ、と飼い主さんが焦る必要はありません。散歩でほかの犬を避ける日があっても、その日の愛犬に合った過ごし方を選べます。犬友だちの有無ではなく、愛犬が落ち着いて食べる、休む、歩くといった普段の様子も含めて見てください。
ほかの犬への反応が急に変わったり、散歩や生活に大きな支障が出たりした場合は、犬友だちを増やす方法を探す前に、獣医師や行動の専門家へ相談してください。ぐったりしている、呼吸が苦しそう、立てない、吐くなどの様子がある場合や、飼い主さんが心配な場合は、犬具の工夫より獣医師への相談を優先してください。


