おやつを二頭に配るとき、一頭だけ小さなかけらだと、犬は「ずるい」と感じるのでしょうか。犬が報酬の違いに反応することはありますが、人と同じ意味で不公平を理解しているとは言い切れません。量は同じにそろえるより、それぞれの体や食事に合うことを優先します。
犬は量の違いに気づくことがある
片方に大きめのおやつを渡したとたん、もう片方の鼻先がすっと近づく。床を歩く爪の音が止まり、手元をじっと見つめる。飼い主さんには「自分だけ少ない」と抗議しているように見えることがあります。
犬を対象にした研究では、同じ課題をしているのに自分だけ報酬が少ないとき、反応が変わることが示されています。ただし、それだけで犬が人間のように公平さを考え、「ずるい」と判断しているとはわかりません。目の前で相手が食べたことや、期待したものが出なかったことに反応している可能性もあります。犬の気持ちを人間の言葉に置き換えすぎないほうが、見えている行動を落ち着いて受け止められます。
おやつを見てそわそわしたり、相手の分を追いかけたりしても、それだけで「不公平への怒り」とは決められません。犬にとっては、食べ物のにおいがして、すぐ近くで誰かが食べている。それだけでも十分に気になる場面です。公平というより、目の前のおやつが気になる。そんな説明のほうが近いときもありそうです。
同じ量より、それぞれに合う量を
犬同士でおやつの量が違っても、必ず同じにする必要はありません。体格や年齢、普段の食事、体重管理の方針などで、食べる量を調整することがあるからです。片方が少ない理由が健康上の配慮なら、相手に合わせて増やす必要はありません。
おやつを与えるなら、普段の食事との兼ね合いも考えます。必要な量は犬によって異なり、「犬ならこのくらい」と一律には決められません。食事制限がある、体重が気になる、どの程度なら与えてよいか迷うときは、獣医さんに相談してください。犬がぐったりしている、呼吸が苦しそう、立てない、吐くなどの様子があるときや、飼い主さんが心配なときも、おやつや道具の工夫より獣医さんへの相談を優先します。
犬具を作る側としても、見た目のそろい方より、その犬に無理がないことを先に考えます。おやつも同じで、並べたときの形や大きさをそろえることより、食事や体調に合う量を選ぶほうが大事です。差をつけること自体が悪いのではなく、理由のある調整かどうかが目安になります。
同時に渡すと、取り合いを減らしやすい
おやつの量が違うときは、二頭を近づけて順番に渡すより、少し離れた場所でそれぞれに与える方法があります。片方が食べているあいだ、もう片方の鼻が手元に伸びてくる場面を避けやすくなります。距離をとっても落ち着かないなら、別々の場所で与えてかまいません。
受け取る順番や大きさを毎回そろえなければ、と気を張りすぎなくても大丈夫です。大切なのは、おやつをめぐって犬同士が競い合う状況をつくらないこと。静かに食べられる場所を選び、食べ終わるまで見守ります。
今日から試せる実践Tips

次におやつをあげるときは、二頭の量をそろえることより、「それぞれに決めた量を、離れた場所で渡す」ことを試してみてください。食べる速さや相手の分を気にする様子も見やすくなります。まずは、食べ終わるまで少し距離を空ける。それだけで十分です。


