脳科学が示す犬の可能性

9月2日付けの学術誌「Journal of Neuroscience」に発表された。 33品種 62匹の犬をMRI 解析した最新の研究によると、犬の脳構造は、品種により異なることがわかった。

人間は、数百年にわたり、狩猟、牧畜、警備、コンパニオンペットなど様々な役目を与える為、それぞれの目的に合う、特徴をもつ犬を選択的交配してきた。

犬の見た目は、『 特徴にもとづく交配を20代、30代と続けていくうちに、初代からは想像もつかない容姿になる 』。しかし、今回の研究によれば、人間による犬の繁殖は、見た目だけではなく、脳の組織構造も変化させてきたのだ。

過去のMRI解析では、犬も感情を持つことが示され、人間の脳と非常に似た働きをする部分があることも示唆されている。

オオカミと遺伝学的にはほぼ変わらないDNAを持つにも関わらず、このような多様性を生み出す犬はという存在は、実は、人間以上のスピードで進化してきたのかもしれない。

近年の選択的交配は、身体能力や性格などによる交配よりも、品種ごとに定められた外見的特徴を維持することに重きが行われている。2008年イギリスBBCで放送された『 Pedigree Dogs Exposed(邦題: 犬たちの悲鳴~ブリーディングが引き起こす遺伝病~ ) 』は、現代のブリーディングによって引き起こされる様々な問題を示した。

人間の選択的交配は、犬の『外見、健康、身体能力、性格』を大きく左右する。遺伝疾患を持った犬の心情を考えるといたたまれない思いとなると同時に、痛みや苦痛により本来与えられた性格的特徴を生かすことが出来ない可能性もあるのではないかと考えてしまう。

人は見た目に惹かれて犬を選ぶケースが多いように思う。はじめて犬を飼う場合、その裏に遺伝子疾患があるかもしれないなんて、微塵も考えない。

犬が人間の選択的交配により、特定の分野において優れた能力(脳構造)持つように進化したという示唆を肯定的に捉えるのであれば、 そろそろ、私たちは、外見的特徴に囚われる犬選びから卒業し、それぞれ特徴的能力や性格があるという事をよく理解した上で、人生のパートナーとして犬を迎え入れるべきかもしれない。

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