外ではお利口、家ではやんちゃ。犬にも「外の顔」がある?

散歩中は飼い主さんの横を歩いていたのに、玄関をくぐった途端、靴下をくわえて走り出す。そんな姿を見ると、犬にも「外の顔」があるのかなと思います。人のように使い分けているとは限りませんが、外で受けた刺激や緊張が、家に戻ってからの動きに表れることはあります。

「外の顔」より、場面の違いに注目

外では静かで家ではやんちゃ。それだけで、外で無理をしていた、あるいは家でわざと困らせている、と決めることはできません。外と家では、聞こえる音も、においも、動ける範囲も違います。犬の反応が変わるのは、環境が変わったからかもしれません。

たとえば散歩では、車の音や人の足音を気にしながら、飼い主さんの歩調に合わせていることがあります。帰宅すると、靴底についた砂が玄関に落ちる音がして、リードを外した金具が小さく鳴る。そこから急に部屋を走ったり、おもちゃを持ってきたりする姿もあります。外で見せた落ち着きが「本当」で、家のはしゃぎが「素顔」と、どちらか一方を決める必要はありません。

犬が何を感じていたかは、様子だけで断定できません。私は、外と家で行動が違うときほど、「どちらが本当か」より「どの場面で切り替わるか」を見るのが役に立つと思っています。帰宅直後なのか、来客のあとか、遊びのあとか。場面が見えると、犬に必要な対応も考えやすくなります。

帰宅後に走り回るとき、まず何をする?

帰宅してすぐに走り回るなら、まずは声や遊びで盛り上げず、犬が落ち着ける時間をとってみてください。水を飲めるようにし、いつもの休む場所を使える状態にして、飼い主さんも静かに過ごします。すぐ寝なくてもかまいません。部屋のにおいを嗅いだり、床に伏せたりして、動きがゆるむまで待ちます。

「お利口だったね」と声をかけて遊びに誘いたくなることもありますが、帰宅直後の犬には、さらに気持ちを上げる合図になるかもしれません。ほめること自体が悪いのではなく、犬の動きが速いときに刺激を足すか、静かな間をつくるか。そこは飼い主さんが選べます。

もちろん、どの犬にも同じ休み方が合うわけではありません。いつもと違う急な行動の変化がある、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、立てない、吐く、または飼い主さんが心配なときは、犬具や過ごし方の工夫より先に獣医さんなどの専門家へ相談してください。

「いい子だったか」より、切り替わる場面を見つける

外で落ち着いていたかどうかを点数のように考えるより、どんな場面で体や行動が変わるのかを見るほうが実際的です。散歩から戻ったとき、遊びを終えたとき、知らない人が帰ったあと。共通点が見つかれば、次はその場面のあとに静かな間をつくれます。

私たちは首輪やリードをつくる仕事をしていますが、犬の行動を道具だけで説明することはできません。犬具屋としては、まず使う場面を絞って考えます。外での散歩と、帰宅後の休憩は別の時間。道具のことを考える前に、犬が家でどう落ち着いていくかを見るのが先です。

それに、帰宅後の靴下はなぜか犬にとって特別な戦利品のようです。洗濯かごへ運ぶ係に任命された覚えはないのですが、本人はずいぶん誇らしげだったりします。

今日から試せる実践Tips

帰宅後、飼い主が静かに待つ間に犬が休む場所へ向かう様子

次に帰宅したら、犬が走り出した瞬間に遊びへ誘うのではなく、飼い主さんはひと呼吸おいて、犬の動きがゆるむまで静かにしてみてください。走る、においを嗅ぐ、伏せる。その順番を眺めるだけでも、家に戻ったあとの過ごし方が見えてきます。落ち着くまでの長さは犬それぞれです。時計を見て評価する必要はありません。

今日できるのはひとつ。次の帰宅時、犬が最初に向かう場所をひとつ覚えておく。それが、犬なりの「外から家へ」の切り替えを知る手がかりになります。

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