家族が言い争うと、犬が二人のあいだに立ったり、どちらかに体を寄せたりすることがあります。仲裁していると決めつけず、まず会話を止めて距離を取りましょう。犬には、人の声や動きがいつもと違って聞こえ、落ち着かない合図になっているのかもしれません。
「仲裁」より、緊張への反応かもしれません
声が強くなり、手振りが大きくなる。そんな場面で犬が近づいてくると、家族のあいだを取り持とうとしているように見えます。けれど、犬が何を考えているかは、その行動だけではわかりません。人の声の高さや大きさ、急な動きに反応している可能性もあります。
犬にとっては、言葉の内容より、いつもと違う声や部屋の空気の変化のほうが目立つのでは、と私は思います。犬が間に入ったからといって、仲裁役を引き受けた証拠にはなりません。人間の会議に、議事録係として犬を任命するのは少し無理があります。
犬が近づく、吠える、体を寄せる、部屋を出るなど、反応はそれぞれです。ひとつの動きだけで気持ちを断定せず、まずはその場の刺激を小さくすることから始めます。
犬が来たら、先に声と動きを止める
犬が二人のあいだに来たときは、犬を押しのけたり、抱き上げたりして無理に移動させるより、まず人が声を止めて一歩下がります。犬が自分から離れられる余地をつくり、通り道をふさがないようにしてください。犬をなだめるために大きな声で呼ぶと、かえって音が重なることもあります。
犬が自分の寝床や別の部屋へ移ったなら、追いかけずにそのまま休めるようにします。水や寝床を普段どおりに使える状態にし、家族の会話は犬から離れた場所で続けましょう。犬を間に置いたまま話し合いを続けないこと。そこは人が引き受けるところです。
犬具屋としては、この場面では犬に合図を出して動かすより、人の声と動きを先に落ち着かせるほうを優先します。首輪やリードは次の行動を伝える道具ですが、家族の緊張を解く役目までは担えません。
犬が離れたあとも、無理に呼び戻さない
言い争いが終わったら、犬がすぐ戻ってくるかどうかを確かめるように呼び続けず、犬の選択に任せます。少し離れた場所で伏せているなら、その距離を保って静かに過ごしましょう。反対に、近くに来ても、すぐに抱きしめたり顔をのぞき込んだりせず、普段の声で短く接します。
そのあとも、同じ場面で落ち着かない様子が続く、行動が急に変わったと感じるなど、気がかりがあれば獣医さんに相談してください。ぐったりしている、呼吸が苦しそう、立てない、吐くなどの症状があるときも、犬具や家庭での対応より獣医さんへの相談を優先します。
今日から試せる実践Tips

次に声が強くなったと気づいたら、犬を呼ぶ前に、家族が会話をいったん止めて互いに一歩離れてください。犬がどこにいるかを確かめ、近づいてきても間に立たせたまま話を続けない。まず人が動きを変えるのが、今日できる対応です。


