夕方の風が涼しくなって、犬がいつもより軽い足取りで歩く。そんな日は散歩を長くしたくなりますが、急に時間や距離を増やすのは避けましょう。まずは今までのペースを保ち、散歩中と帰宅後の様子を見ながら少しずつ戻します。気温が下がったことと、体が運動に慣れていることは別だからです。
涼しい日でも、体は夏のペースのまま
暑い時期に散歩を短くしていたなら、外の空気が心地よくなっても、体がすぐ以前の運動量に戻るとは限りません。飼い主さんには「今日は歩けそう」に見えても、犬にとっては久しぶりの長い散歩かもしれません。
公園の木陰で立ち止まり、落ち葉のにおいを確かめる。犬の鼻先が地面を行ったり来たりしていると、こちらはつい「元気そうだから、もう少し先まで」と考えます。けれど、歩き続けることと、においを嗅いで立ち止まることでは、散歩の中身が違います。距離だけで運動量を決めず、歩く調子や休み方も見てください。
犬具屋としては、涼しい日に急に距離を伸ばすより、散歩の流れを落ち着いて戻すことを優先します。長く歩くことが目標になると、犬が自分で立ち止まって休む時間まで「予定外」にしてしまいがちです。犬の寄り道は、散歩の進行を妨げるというより、その子の歩き方の一部。飼い主さんの歩数計には載らなくても、鼻先はたいへん忙しそうです。
増やすなら、歩き方と帰宅後の様子を見ながら
散歩を戻す時期に、すべての犬に共通する開始日や時間はありません。気温だけで決めず、いまの散歩を無理なく終えられているかを見て、普段より少し長めに歩く日をつくるところから始めます。毎回伸ばすのではなく、いつもの長さに戻す日も挟んでかまいません。
歩いている途中で何度も立ち止まる、いつもより遅れる、帰り道で足取りが落ちる。こうした変化が見えたら、距離を足すより、いったん普段のペースに戻す判断を。帰宅後も、休み方や水の飲み方などがいつもと違わないかを見ます。いつもの範囲で歩いた日と比べると、小さな変化に気づきやすくなります。
散歩を終えたあと、玄関の床にリードが触れてかすかな音を立てる。犬がそこで座り込まず、いつものように家の中へ向かうか。帰宅後の様子は、散歩中には見えにくかった疲れに気づく手がかりになります。短くても落ち着いて帰ってこられたなら、その日の散歩はそこで終わりにしてよいのです。
ぐったりしている、呼吸が苦しそう、立てない、吐くなどの様子があるときや、飼い主さんが心配なときは、散歩の調整を続けるより先に獣医さんなどの専門家へ相談してください。
散歩の時間だけでなく、歩く中身も戻す
暑さを避けていたあいだ、散歩が短くなっただけでなく、外で過ごす時間そのものも減っていたかもしれません。そういうときは、いきなり長いコースへ戻すより、今までの道で少しゆっくり歩いたり、においを嗅ぐ時間をとったりする方法もあります。距離を増やさなくても、犬が自分のペースを取り戻すきっかけになります。
反対に、暑い時期も短い散歩を続けていて、犬の歩き方や帰宅後の様子が安定しているなら、無理に「秋だから」と増やさなくても大丈夫です。散歩の目的は、毎回きまった距離を達成することではありません。歩く量を戻す必要があるかどうかも、その犬のいつもの様子を基準に考えます。
秋は日が落ちるのも早くなります。時間を延ばすと帰り道の明るさが変わることもあるので、長さを戻すなら出発時刻も含めて考えてください。暑さが和らいだことだけを理由に、時間と距離を一度に変えなくていいのです。
今日から試せる実践Tips

今日の散歩は、距離を延ばす前に「いつも通りの道を歩いたとき、犬はどんな調子か」を見てみてください。出発直後、途中、帰宅後の歩き方を、普段の散歩と比べるだけで十分です。問題なく歩ける日が続いてから、少し長く歩く日を混ぜます。具体的に何分増やすかは、犬の体格や年齢、その日の様子によって異なるため、一律には決められません。
涼しくなった日は、散歩を急いで取り戻す合図ではなく、歩く調子を確かめ直す機会。今日はいつもの道を、犬の歩幅に合わせて歩いてみてください。


