家で誰かが飼い主さんにそっけない態度を取ったとき、犬がその人を覚えているのか気になることはありませんか。犬が人のやりとりを見聞きして反応することはありますが、「冷たくした人」として記憶し続けるとは言い切れません。まずは相手に近づけず、犬の反応を落ち着いて見ます。
犬が覚えているのは「人柄」とは限らない
犬は人の声や動き、その場の雰囲気に反応します。ただし、犬が人間同士の関係を人のように理解し、「この人は飼い主に冷たい」と評価しているかは別の話です。見ていた表情、声の強さ、急な動き、その後に起きたことなど、いくつもの手がかりが重なっているかもしれません。
たとえば、会話の声が少し強くなり、椅子が床をこすって鳴る。犬が耳を向けたり、飼い主さんのそばに寄ったりしても、それだけで相手への好き嫌いが決まったとはわかりません。犬からすると、話の内容より、声や動きの変化のほうが目についた可能性もあります。これは犬の反応から考えられる見方で、気持ちを断定するものではありません。
意外なのは、犬の記憶が「誰が悪かったか」という人間側の筋書きと同じとは限らないことです。ある人が来たときに緊張したとしても、その場の音や距離、犬自身の経験など、ほかの要素も関係しているかもしれません。尻尾が動いた、吠えた、隠れたという一つの行動だけで、犬の結論を代弁しないようにしたいところです。
相手への反応は、場面ごとに見る
その人が来るたびに犬が身を引くのか、声が大きくなったときだけ離れるのか。飼い主さんの近くにいるときと、別の場所にいるときで違うのか。こうした場面の違いを見ていくと、「相手を覚えた」と急いで結論づけずにすみます。
犬が近づかないなら、呼び寄せたり、相手に触れてもらったりしなくてかまいません。犬が自分で距離を選べるようにして、逃げ道をふさがない。相手にも、目をのぞき込む、頭に手を伸ばすといった接近を控えてもらいます。犬が自分から近づくかどうかは、犬に任せます。
犬具屋としては、道具で人への警戒心を解決しようとするより、まず人の立ち位置と接し方を変えることを優先します。犬具はその場の人間関係を説明してくれません。ここは人が距離を調整するところです。
無理に仲直りさせない
「この人は大丈夫」と犬にわからせようとして、相手からおやつを渡したり、何度も呼びかけたりすると、犬には逃げにくい状況に感じられることもあります。相手に悪意がないとしても、犬の反応を押し切る必要はありません。
犬が別の場所で落ち着けるなら、そのまま休ませます。犬が緊張した様子を見せたときは、接触をやめて空間を広げてください。急に行動が変わった、強い恐怖が続くなど飼い主さんが心配なときは、犬具で対処しようとせず、獣医師や行動の専門家に相談してください。
今日から試せる実践Tips

次にその人と犬が同じ空間にいるときは、相手に犬を見つめたり触ったりしてもらう前に、まず犬が離れて休める場所を空けてください。犬がどこにいて、どの声や動きのあとに反応するかを、ひと場面だけ静かに見ます。今日できるのは、犬に答えを急がせず、距離を選べるようにすることです。


